vol.01 特集テーマ 快適な車内空間

化学の力で “クリーナブル・ファブリック” というソリューションを
カーシートに、抗菌・防臭・汚れ防止機能を実現する

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さまざまな外出シーンやアクティビティに使われる自動車の車内空間は、汚れや臭いが付きやすいことが課題でした。さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりを受けて、安全性や安心感を求める人々の意識が高まる中、クリーンな状態を守れる生地“クリーナブル・ファブリック(Cleanable Fabric)”が注目されています。

旭化成グループのSAGE(セージ)Automotive Interiors社では、これまで高性能で高品質な自動車用インテリアファブリックを開発してきましたが、技術をさらに進化させ、より快適に、より手入れしやすく、サステナブルなクリーナブル・シート生地を生み出しました。

現在すでに世界で500万台の自動車に採用されている本製品は、もともとどのような着想から誕生したのでしょうか? プロダクトデザインとマーケット戦略に携わるSAGE社のミシェル・ワスカヴェイジ氏(Michele Wascavage)に、お話を聞きます。

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▲SAGE社のミシェル・ワスカヴェイジ氏(Michele Wascavage)

 

子どもがシートを汚した後もパパとママがデートを楽しめる車

――どのようにして、この製品が生まれたのでしょうか?

「SAGE社のデザイングループでは、技術だけでなく、ユーザーへのアンケートや定期的にいろいろな消費者を集めたワークショップを通して人々のマインドをリサーチし、ソリューションを考えています。

クリーナブル・ファブリックの開発も、その中で出てきた話がきっかけになりました。車は何台も持っているわけではない。けれどもやりたいアクティビティはたくさんあって、たとえば子供たちをサッカーの練習場へ車で迎えに行って家に帰るとき、途中でファーストフード店に寄って車の中で食べさせる。その間にケチャップをシートにつけてしまったり臭いがついてしまったりする。でもその日の晩に、お父さんとお母さんは同じ車でデートに行きたいかもしれない。一台の車を複数の用途で使用するうえで、こういうことがネックになっている。だから簡単にきれいに手入れができて臭いの残らないものが欲しい、という消費者のニーズがわかりました。

このことを車メーカーに話したところ、車メーカーも同時期に同じことを考えていたことがわかり、『これは絶対に必要なんだな』と確信して、開発に至りました。さらに今、世界的に新型コロナウイルスが蔓延して人々の衛生面への意識が高まっている状況で、引き続きクリーナブル・ファブリックのニーズは大きいと実感しています」

化学の力で、お手入れしやすくサステナブルな車内空間を

――製品の特徴を教えていただけますか?

「たとえばコーヒーをこぼしてしまった場合、普通の生地であれば、それがシミになってしまったりコーヒーの匂いがついてしまったりするけれど、SAGE社が開発したクリーナブル・ファブリックでは、高度な技術によってコーヒーに対していろいろな化学反応が起こり、それらを防ぐことができます。その機能の一つひとつを『パフォーマンス・ケミストリー』と呼んでいます。

まず、こぼれたコーヒーを『REPEL(リペル)=弾く』、つまり中に染み込まないようにします。液体の汚れは玉状になって表面にとどまるので、さっと拭き取ることができます。そのまま長時間置いておくと表面を通過してしまうのですが、次に『RELEASE(リリース)』というパフォーマンス・ケミストリーが働きます。中に染み込んでしまったコーヒーにアタックして、生地から追い出すような働きをする。さらに、抗菌のケミストリーが働きます。

今回のクリーナブル・ファブリックの抗菌性には二つのパフォーマンス・ケミストリーがあって、『アンタイミクロビアル』=カビなどができないようにするのと、バイ菌を増殖させない『アンタイバクテリアル』という働きがあります。そうすることによって臭いの原因となるバクテリアが発生しないようにします。

食べ物をはじめ、タバコの煙、ペットなどのしつこい臭いや、揮発性有機化合物(VOC)による人体に有害なガスも強力に除去して、車内の空気をきれいに保ちます」

SAGE社のクリーナブル・ファブリックは、
9つのパフォーマンス・ケミストリーを約束する

1. ANTI-MICROBIAL カビなどができないようにする
2. ANTI-BACTERIAL/ANTI-FUNGAL 抗菌・抗真菌。菌を増殖させない
3. REPEL 油なども撥ねつけ、シミを作らせない
4. RELEASE 中に入ってきた汚れにアタックして、追い出す
5. WATERPROOF 防水性。水や液体を表面にとどまらせる
6. DURABLE 耐久性。摩耗しにくく、キズ付きにくい
7. VOC REDUCTION 揮発性有機化合物を削減する
8. ODOR CONTROL しつこい匂いや悪臭を除去する
9. ANTI-STATIC 静電気を防止する

9項目すべてを採用した生地は「YES, ESSENTIALS®️(イエス・エッセンシャルズ)」というブランド名で販売している。

 

9つのパフォーマンス・ケミストリーを、さまざまな生地に展開

――とくにSAGE社としての強みはありますか?

「先ほどの『リリース』は、とくに他社にはできないパフォーマンス・ケミストリーです。全部で9つのパフォーマンス・ケミストリーがあるのですが、これらすべてをコンビネーションにして、さまざまな生地(ファブリック)に入れて展開できるという技術を持っているところが私たちの強みだと思います。

9つのパフォーマンス・ケミストリーを備えたクリーナブル・ファブリックを、SAGE社では『YES, ESSENTIALS®️(イエス・エッセンシャルズ)』というプロダクトブランドで販売していて、多くのお客様にご好評をいただいています」

▲「YES, ESSENTIALS®️(イエス・エッセンシャルズ)」が採用されたロール状の製品

 

カーシェア需要に応え、さらなる進化を

SAGE社のクリーナブル・ファブリックは、今後市場が大きく伸びていくと目されており、カーシェア業界からも熱い視線を集めています。とりわけモビリティ・シェアリングでは、「前に誰が使ったのかわからない車を運転したくない」といった衛生面でのネガティブなイメージが障壁になる。そのためクリーナブル・ファブリックが果たす役割は、今後ますます重要視されていくことでしょう。

困難な社会課題に直面しても、目を背けず向き合って考え、新しいソリューションを生み出していくーーこれからも旭化成グループの取り組みに、どうぞご期待ください。

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この記事は2020年10月11日に公開しました。

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