vol.07 特集テーマ Automotive Interior Survey

世界のユーザーは今、自動車と内装に何を求めているのか?

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旭化成による消費者意識調査レポート“Automotive Interior Survey 2021”を公開

世界ではパラダイムシフトが進み、特に自動車業界は100年に一度の大変革期にあるといわれますが、ユーザーは今自動車とその内装に何を求め、期待しているのでしょうか。旭化成は2019年より毎年、日米中独4カ国の消費者に独自の意識調査“Automotive Interior Survey”を実施しています。調査では自動車購入の決め手となる重要なファクターの推移を見守り、車内の清潔さ、サステナビリティ、コネクティビティといった近年注目されているテーマを深掘りして、非常に興味深いデータと知見を得ています。このたび2021年調査版“Automotive Interior Survey 2021”を公開しました。ぜひ本調査資料をダウンロードしていただき、新たなイノベーションにご活用ください。

*資料言語は英語になります、ご了承ください。

本インタビューでは、“Automotive Interior Survey”の概要や見どころ、活用事例などについて、調査チームのリーダーである旭化成ヨーロッパのHauke Witting(ハウケ・ウィッティング)より、紹介します。

▲旭化成ヨーロッパ  Hauke Witting

旭化成が実施する意識調査の背景とは

私は主にヨーロッパにおける事業開発を担当しています。旭化成ヨーロッパはドイツのデュッセルドルフに位置しており、自動車のプレミアムメーカーやサプライヤーとも地理的に近いため定期的な交流が可能です。旭化成には多様なプラスチック製品をはじめ、表面加工材・発泡材・半導体・バッテリーシステムのソリューションなどユニークな製品があり、これらの技術を適切に組み合わせることで斬新なソリューションを提案できます。

私たちのチームは領域横断的に動いて、自動車メーカーの新製品開発など将来のビジネスや目標設定のために尽力しています。特に重要なのは、早い段階でニーズやトレンドを把握することです。自動車業界は絶え間なく変化して、ユーザーの要望は社会的および私的なニーズ、法規制などに応じて変わります。しかし自動車の製造には高い水準が求められ、ライフサイクルも長いため、開発は非常に複雑で多くの時間がかかります。ユーザーが市場で最適な製品を見つけるよりもずっと前に、それらを提供する準備ができていなくてはなりません。市場とユーザーの要望について常にアップデートして正確な知識をもっていることが不可欠です。

2010年中頃、シェアードエコノミー、自動運転、EVといったトレンドが同時に出現しました。私たちはユーザーが将来の自動車に対して本当に求めているものは何か考え、資料となるデータを探しました。しかし必要としている粒度や精度に合った調査研究が見つからなかったのです。そこで私たちは自動車のユーザーに長年の専門知識を持つドイツに拠点を置くSKOPOS社とともに独自の調査“Automotive Interior Survey”を設計しました。

“Automotive Interior Survey”は、日本・アメリカ・中国・ドイツに暮らす各1,000人、合計約4,000人にオンラインで行うパネル調査で、主に自動車を運転する人、自動車購入の意思決定者などエンドユーザーを対象としています。毎年実施することで連続性が見える調査データは、自動車メーカー(OEM)やサプライヤー(Tier1, Tier2)といった私たちのお客様からも肯定的な反応をいただいています。またこのデータを活かして抗菌やアクティブ・ノイズ・キャンセリング技術などの新しい自社製品開発もすでに行われています。

“Automotive Interior Survey 2021”の注目点

1. 定点観測から見えてくる、消費者マインドと需要のシフト

“Automotive Interior Survey 2021”の見どころは、まず定点観測を続けてきたテーマに対する回答の変化です。例えば「ブランドロイヤルティ」は、これまで一般的に高いものとされてきましたが、2019年より年々全地域で低下しています。『次の自動車も同じブランドを選択したい』という人は日米独で50%、中国ではわずか23%です。このデータは自動車メーカーが、既存顧客を維持するための対策を講じる必要があるということと、新規顧客を獲得するために自社のブランドを認めてもらうより多くの努力を払わなければならないことを意味します。

▲“Automotive Interior Survey 2021”より、『ブランドロイヤリティの各国比較』

パンデミックの影響で消費者マインドや自動車に対する需要がシフトしていることも、定点観測から見えてきます。2021年はアメリカでカーシェアリングへ対して否定的な回答が大幅に増えました。これが長期的な傾向として続くのか、サステナビリティの意識が高まり再び関心を集めるのか、今後も注視して行きたいです。

▲“Automotive Interior Survey 2021”より 、『カーシェアリングや配車サービスの利用意向』 2019年からの推移

2. グローバルなメガトレンドと、ローカルな特性も見逃せない

サステナビリティやEVなどのグローバルなトピックスがメガトレンドを支配していても、地域ごとに回答が大きく異なるテーマもあります。「清潔さ」、とりわけ内装の清潔さは、COVID-19が出現する前からヨーロッパで高いニーズがありました。具体的に『自動車の清潔さをどこに求めるか?』を2021年に聞いたところ、ドイツとアメリカでは車室内への注目が高いことが確認できました。一方、中国では車室内の嫌な臭いが、日本では外装の汚れが車室内の汚れよりも不快に感じることがわかりました。

▲“Automotive Interior Survey 2021”より、『自動車の清潔さをどこに求めるか?』

2021年の調査にて、より注目して調査したテーマは「サステナビリティ」です。どの国でも年々関心が高まっているテーマですが、サステナブルかどうかを判断する条件やその度合いを格付けするポイントはたくさんあります。例えば、EVかどうか、生産時に化石燃料を使っていないか、電池に必要なレアアースを回収材から使っているか、どのサステナビリティが最もユーザーの購買意欲につながるのか……などです。個人的にも興味があり調べてみたのですが、ドイツでは最も多い52.7%の人が『リサイクル原料を使ったマテリアル』と回答しました。日本では43.1%の人が『ハイブリッドテクノロジー』と回答していて各国各様です。これにより、地域によって売れる自動車は異なることがわかってきます。

▲“Automotive Interior Survey 2021”より、『サステナブルな自動車に求められるポイントは?』 面積が広いほど多くの回答が集まったことを示す。

▲“Automotive Interior Survey 2021”より、 (円グラフ)『“サステナブルな自動車”で注目するポイントは何?』、(棒グラフ)『“サステナブルな自動車”を購入する際にいくらまで多く支払ってもよいか?』 回答の平均値

全体で見ると『もっとサステナブルな自動車のために今より高額になっても良い』と思っている人は、4カ国平均で48%います。上限金額は平均『3,000ドルまで』という興味深いデータもあります。そのうち500ドルは内装部分の素材などにサステナビリティを求めています。

最新の2022年調査レポートは、自動運転も調査項目に追加

次の2022年調査結果の分析も始まっています。私が注目しているのは、ユーザーエクスペリエンス、ユーザープリファレンスといった、ヒューマン・マシン・インターフェースに関わるところです。操作ボタンからタッチパネルになるなど、最近人間とマシンの接し方が変わってきていていますが、ここにどのような人々の要望があるのか調べていきたいと思っています。

▲“Automotive Interior Survey 2022”より、『自動運転車内でどのようなことをしたいか?』

自動運転技術については自律走行車を想定して、ユーザーがどのように移動時間を使いたいかを調べています。見えてきたのは「リラックス」に対する高いニーズです。これまでにわかっている「サステナビリティ」に寄与する自動車へのニーズと併せて、「サステナビリティ」と「リラクゼーション」が次の鍵になるのではないでしょうか。両方の要求に応える製品開発をすべきだと社内にフィードバックする一方、旭化成がすでに持つソリューションを結集して次の時代に求められるモノをお客様に提案していきたいです。

*資料言語は英語になります、ご了承ください。

この記事は2023年3月9日に公開しました。

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