World Rally Championship

Rally Report

<プレビューレポート>ラリージャパンが戻ってくる!

ラリージャパンが戻ってくる

ラリージャパンが12年ぶりに戻ってくる。1980年代後半から激化した日本メーカーのWRC王座争い。盛り上がったラリー人気から熱望されたWRCの日本開催は2004年に帯広を中心にした北海道十勝地方で実現した。その後、第4回大会の2007年までが十勝での開催。2008年にはスタート&ゴールを北海道最大の都市、札幌に移すべく道央開催となり、1年おいた2010年も道央で熱戦が繰り広げられた。

しかし世界的な金融危機に端を発する不況から日本メーカーが次々とWRCから撤退。ラリージャパンも2010年を最後に開催されることがなくなっていた。それから10年。紆余曲折を経てラリージャパンは愛知に開催地を移して開催されることが決まったが、2020年、2021年と立て続けにコロナ禍で開催が中止。そして今年、道央開催から12年、愛知での最初の開催予定より2年遅れてWRCが日本に戻ってくる。

時代の変化が味方した愛知開催

この愛知開催が実現した理由には時代の変化もある。日本で最初の国際ラリーは2001年の日本アルペンラリー。ターマックの開催だったが、当時、SSの実施はJAFや警察庁の話し合いにより林道しか認められておらず、好意的な自治体から町道や市道などの提供を打診されても使用できない状況だった。

またWRC参加メーカーの発言力が強く、コスト抑制のためにヨーロッパ外でのWRCはグラベルラリーしか認められていなかった。日本で300キロのグラベルステージを用意することが出来るのは北海道しかなかった。

しかし、時の流れとともにWRCのステークホルダーの力関係も変わり、プロモーター主導でヨーロッパ外でもターマックラリーが認められることになった。これで本州でのWRC開催の足枷はなくなったのである。今年のラリージャパンにやってくるメーカーチームはトヨタ、ヒョンデ、フォードMスポーツの3チームだが、北海道でWRCが開催されていた当時から参加していたのはフォードMスポーツのみ。トヨタとヒョンデは日本初お目見えであることを考えても時の流れを感じさせる。

今回、ラリー本部やサービスパークが置かれ、開催の中心となるのは豊田市。矢作川を挟んで本部のスカイホールとサービスパークの豊田スタジアムがあり、その施設はWRCの中でも高いレベルにある。

世界に例を見ない独特な道路

ラリーは11月7日〜9日のレッキ(コースの下見)で始まり、10日に豊田市の鞍ヶ池でのスーパースペシャルSS1で幕を開ける。そして11日のデイ1から本格的な戦いとなるが、デイ1〜デイ3はいずれも豊田市から放射状にルートが設けられ、デイ1は北東に進路を取り、長野県境に近い稲武や設楽町が舞台。

デイ2は豊田市東側の新城や岡崎が舞台となり、今回のラリージャパンではもっとも観客向けの開けた環境の続く三河湖近辺のスペシャルステージ(SS)や岡崎市内でのスーパースペシャルも予定されている。そしてデイ3は豊田市のアウトドア施設が集まる旭高原と岐阜県内に入って2か所のSS。ボーナスポイントが加算される最終SSパワーステージは旭高原での開催だ。

実施されるSSは11か所。リピートステージがあるため、トータルで19SS、283.27kmで競われる。スーパースペシャルやデイ2の三河湖、デイ3の根の上高原など道幅のある高速で毛色の異なるステージもあるが、多くの道路は日本的な森の中を縫う林道が舞台。実際にラリー1マシンを走らせてみないと分からないが、アベレージスピードはそれほど速くなく、90km/h程度ではないだろうか。

今年のWRCでターマックラリーはクロアチア、イプルー、カタルニアなどが開催されているが、日本の林道を舞台にするラリージャパンのステージはそのどれとも異なる独特なものだ。日本の林道でもっとも特徴的なのは舗装されたコース脇は側溝があり、その多くは蓋がされていない。さらにその外側には石や岩が点在している。つまり道路からはみ出す余裕はほとんどないことになる。インカットが出来ないのはもちろん、コースからわずかにアウトに出るだけでマシンにダメージを与える可能性が高く、これはドライバーにはやっかいな作りである。それだけに確実なマシンコントロールがラリージャパン攻略には必須となる。

そしてテクニカルな低速ステージは高速の連続するステージよりタイム差がつきやすい。道幅が狭くマシンを振り回す余裕の少ない日本の林道をトップドライバーたちがどう攻略するかは興味深いところだ。

出場は38台。ラリー2の王座争いと日本からの出場にも注目

こうしたステージに挑むのは3つのメーカーチームを筆頭に38台のラリーカーたち。このうちハイブリッドのラリー1マシンは11台。もっとも一般的なラリー2マシンは17台。ラリー1には2年前のラリージャパン前哨戦、セントラルラリーで優勝した勝田貴元が含まれる。果たして地元開催のWRCでどれだけのスピードを見せるのか。日本のファンの期待が集まる。

トップカテゴリーはすでにドライバー、メーカーチャンピオンが決まっているが、ラリー2マシンで争われるWRC2では最終戦にチャンピオン争いが持ち込まれており、カイエタン・カイエタノヴィッチとエミル・リンドホルムの王座争いに注目が集まる。

さらに選手権外とはいえラリー2マシンでは今年の全日本チャンピオン、シュコダに乗るヘイキ・コバライネン、かつてのスバルのエース、新井敏弘(今回はシトロエンC3をドライブ)なども出場する。

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