World Rally Championship

Race Report

Round 02

雪と氷のスウェーデンでWRC二度目の親子二代優勝達成

WRC唯一の本格的ウィンターラリー

WRCに存在する2戦のウィンターラリー。開幕戦モンテカルロは舗装路の途中に雪や氷が現れるトリッキーな路面。一方、第2戦のスウェーデンは全ての路面が雪と氷に埋め尽くされた世界選手権唯一のスノーラリーだ。
どちらのラリーにもスタッド(スパイク)タイヤが使われるが、凍結路面を走るスウェーデンのタイヤは幅狭タイヤにタングステン鋼で作られた最大突出量20ミリというスタッドをハリネズミのように打ち込んだ特殊なものだ。
従来はストックホルムに近いカールスタッドを中心に開催されてきたが、暖冬が続いたことでスカンジナビアも雪不足となり、今年のラリーは600キロほど北上した、北極圏まであとわずかというウメオでの開催となった。

選手権リーダー二人の不在

開幕戦はセバスチャン・ローブ、セバスチャン・オジェという二人のチャンピオン経験者の熱戦に沸いたが、この二人は今年度の選手権にスポット参戦。このためスウェーデンはWRCドライバーズチャンピオンを狙うレギュラードライバーで争われることになる。
トヨタはレギュラーのエルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペッラに加え、今回はオジェに代わって北欧ドライバーのエサベッカ・ラッピを久々に起用。ヒュンダイの陣容は変わらず、フォードはローブを欠いた3人がエントリーした。
2月24日、ラリー前のシェイクダウンでは気温が0度近くまで上がる中、ロバンペッラが最速タイム。これにヒュンダイのオイット・タナック、ティリー・ヌービルが続き、4位には勝田貴元。以下フォード勢が続いた。
幸いなことに気温がマイナス15度まで下がったため、前日の雨で溶けた路面も再び凍結する好コンディションの中、ラリーは25日朝からのデイ1で本格的な戦いが始まる。

トヨタvs.ヒュンダイで大混戦

金曜日のデイ1はラリー最長27kmを超えるカームシェンのステージ2回の走行を含む125km。路面に雪の残るステージは先頭走行が雪掻き役となるが、不利な先頭を走るロバンペッラは最初のSSでバンパーをぶつけながら、後方スタートのタナックに続く2番手タイム。続く最長のSS2ではフォードのブリーンがスタックして赤旗中断の混乱の中、トヨタのラッピが最速タイムで首位に浮上。SS3ではまたしても不利を跳ね返してロバンペッラが首位を奪い、午前中の3つのステージで首位が2回入れ替わる混戦となった。
一度ウメオに戻ったラリーカーはサービスを受け、午前中と同じループを再走するが、SS1のリピートになるSS4ではトヨタのエバンスが最速タイムで首位に浮上。さらにSS5ではタナックが追い上げ、エバンスの1.1秒まで迫る。
ところがSS6を前にタナックのi20のハイブリットユニットにトラブルが発生。今年から登場したハイブリッドラリーカーに装備されるレッドランプ(危険信号)が点灯し、マシンを止めることになってしまった。ユニットはコンパクトダイナミック社から供給されたものでヒュンダイやタナックの責はないが、首位争いから脱落したタナックは「悪い冗談みたいだよ」と語った。
タナックのリタイアでプレッシャーのなくなったエバンスだが、SS6でタイムロス。デイ1最後のSS7ではヌービルが首位を奪いフィニッシュする。不運だったとはいえタナック、そしてヌービルが首位に立ったヒュンダイはモンテカルロの不振から一転、速さを見せてきた。2位以下はロバンペッラ、エバンス、ラッピとトヨタ勢が追う展開となった。

独走で親子二代優勝を達成

首位争いはデイ2でも続くが、デイ1で不利な走行順にも関わらず首位争いに加わったロバンペッラがいよいよ本領を発揮することになる。最初のSS8でロバンペッラが首位に立つと、SS10ではエバンスが2位へ浮上。クレイグ・ブリーンが今回フォード初の最速タイムを出したSS11ではラッピが3位に上がり、トヨタは1-2-3体制を築くことになった。
ウメオのサービスを挟んで午後のループではエバンスが首位に迫るがデイ2後半ではロバンペッラが連続ベストタイムで後続を引き離し、さらにこの日最後のステージではエバンスがコースを外れて走ったことで10秒のペナルティを受けたことでロバンペッラは大きなアドバンテージ。
後続に20秒以上のリードとなったデイ3最終日にロバンペッラを脅かすドライバーはおらず、2001年に父、ハッリ・ロバンペッラが成し遂げたスウェーデン優勝を21年後に息子のカッレが再現することになった。これは1966年と1985年のモンテカルロを制したトイボネン親子以来の二代での同ラリー制覇だった。
これでロバンペッラはドライバーズ選手権でリーダーとなり、2位には今回2位を獲得したヒュンダイのヌービルが続くことになる。WRCを争う3メーカーのマシンが接近したパフォーマンスを持つことが証明された開幕2戦を終え、次のWRCは4月のクロアチア。マシンのパワー差が出やすいターマックラリーだが、新しいハイブリッドユニットを得てどのチームが効率良くパワーを絞り出してくるのか注目の一戦である。

ライター

川田輝(かわだあきら)

川田輝(かわだあきら)
1960年生まれ
自動車雑誌の編集部員からオートテクニック、ラリーXプレスのジャーナリストになる。
アジアパシフィック選手権、PWRCのチームマネージャーを経てスズキWRTのチームマネージャーを務めた。
WRCは取材、チーム参戦で250戦ほど経験。

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