CES 2023 出展レポート

旭化成ブースに約1,700人が来訪
沢山のご来場ありがとうございました

2023.01.05 - 01.08

REPORT

モビリティ分野の見どころ

昨今のデジタルと電動化の波に乗り、CESでのモビリティ関連の展示は、回を重ねる毎に存在感を増しつつあります。今年は、交通/車両テクノロジーの専用展示エリアであるラスベガスコンベンションセンターの西ホールを中心に業界各社がブースを構え、新型コロナウイルス感染拡大の影響から出展見合わせが目立った昨年を上回る充実と賑わいを見せていました。

まず完成車メーカーでは、MercedesがコンセプトEVの“Vision EQXX”を展示。高密度バッテリーと太陽電池を搭載し、かつ車体の空力性能にこだわった結果、一回の充電で1,200kmもの航続距離を実現しています。VWは、ソフトウェア子会社のCARIADが北米での事業展開を視野に初出展。同社プラットフォームを搭載する新世代EVミニバン”ID.Buzz”が展示されていました。屋外パビリオンでは、BMWの新コンセプトモデル”i Vision Dee”の展示が目を引きました。車名はDigital Emotional Experienceの略ですが、その名の通りフロントウィンドウに投影されるHUDでの直感的な操作を通じ、ユーザーが複合現実への没入体験のレベルをコントロールできる興味深いコンセプトです。さらに、昨年のCESでは電子インク技術を応用して白黒2色にボディカラーを変えられる同社の”iX Flow”が話題となりましたが、”i Vision Dee”では32色対応へと広がり、一瞬で色が切り替わるデモが印象的でした。ドイツ勢以外では、StellantisがPeugeot、Jeep、Dodgeなど傘下ブランドのEVコンセプトモデルを展示。来年発売予定のRAMのEVピックアップトラックの横では、Stellantisグループ共通の大型EV向けシャシーの下に潜り込み、EFI Automotive社のロボットが自動でワイヤレス充電を行うデモが実演されていました。また、GMはグループ傘下でコネクテッドサービスを展開するOnStarがCadillac LYRIQの運転席でMicrosoftとコラボしたゲームを提供。車内での新しい体験に来場者は熱中していました。

新興EVプレイヤーに目を移すと、今回とりわけ注目を集めていたのが、ソニー・ホンダモビリティのEVセダン”AFEELA”のプロトタイプ展示です。コンテンツを活用した“Media Bar”による車外とのコミュニケーション、車側がユーザーを認識してパーソナライゼーションを行い、自宅と車の間でのシームレスなエンタメ体験を可能にするなど、BMWと同じくモビリティとソフト・サービスの高次元での融合をめざす姿勢が特徴的でした。車としての基本性能を押さえた上で、人と車の結びつきを強めるデジタル体験に競争軸を移しているという点で、モビリティの新たな地平を垣間見ることができました。また、昨年のCESでも話題となったベトナムのVinFastは、販売を開始した新型EVのVF8に加え、発売予定の車両をブースに陳列。ADASやOTA等各種先進機能に加え、北米生産開始に向けて車両生産工程の紹介も行っていました。同じく昨年に続いて出展を行ったトルコの新興EVメーカーToggは、VinFastとは対照的に実車展示こそありませんでしたが、自社開発アプリ”Trumore”との連携等、車を利用した体験価値追求を強く打ち出していました。また、オランダのスタートアップLightyearは量産間近の”Lightyear Zero”を展示。ボンネットとルーフ上に搭載された一日当たり70kmの走行を可能とする太陽電池セルを併用すれば、日常生活では一回の充電で1,000km以上の走行が可能です。各車輪に独立制御のインホイールモーターを組み込んだことにより、エネルギーのクリーン化と効率的な利用を実現しているといいます。

CESのモビリティブースの見どころは乗用車だけにとどまりません。商用車や建機/農機の電動化や自動運転ソリューションも注目を集めていました。米国商用車大手のPACCARは、Kenworthブランドで販売中のEVトラックであるT680E、急速充電器の製品群に加え、T680の水素燃料電池搭載モデルを展示。Peterbiltブランドでは、EVモデルも販売中のModel 579にLiDARや車外カメラ、レーダーを装備し、自動運転Level4のシステムに対応する車体も展示されていました。商用車市場でのBEV/FCEV化およびインフラ整備の流れの加速、自動運転技術への積極投資の姿勢が感じられる内容でした。建機/農機では、食糧問題解決をテーマに掲げAIやコネクテッドの最新テクノロジーによる農業の効率化をめざした各種ソリューションを展示する農機最大手の米John Deereとともに、建機最大手のCaterpillarがブースで圧倒的な存在感を放っていました。西ホールのほぼ中央に設置された同社の巨大なダンプトラック、Cat® 777 Truckは無人運転に対応し、24時間フリートでの遠隔管理が可能。高さは二階建ての建物程のもので、重量は約100トン。CESの会場へはパーツ単位で運び込み、会場で組み立てを行ったとのことでした。

さらに、MaaS関連のテクノロジーも社会実装に向けてさらなる進歩を見せていました。ドイツのZFは自社ブースおよびMicrosoftのブースにおいてMaaS車両運行ソリューションと実績をアピール。1997年から商業運行を開始し、輸送実績は累計2千万人超に達しており、今回の出展企業の中では最も商業化で先行していました。初公開のEVシャトルバスは自動運転Level4に対応しており、モビリティーサービスプロバイダーの米Beep社と提携し、米国において今後数年間で数千台規模を展開する計画とのことです。また、今回のCESでは全般に韓国企業の勢いが感じられましたが、Hyundai Mobisもその一社です。同社は、様々な利用シーンに対応する拡張性を備えた”M.VISION TO”と”M.VISION HI”の2種類の自動運転コンセプト車両を公開。特に前者については、都市部の限られた空間での車両のカニ歩き走行や360度ターンを可能にする”e-Corner System”、車外とのコミュニケーション、複合現実のデモをステージ上で披露するなど盛り沢山の内容でした。一方、日本勢では、トヨタ紡織のMaaS向けコンセプトモデルの”MX221”が自動運転時代の車内空間の活用方法やアクセシビリティを前面に押し出し、注目を集めていました。中でも、車いすでの乗り降りの実演が印象的で、車内のレイアウト変更や車いすの固定を容易に行えるようにすることで、介助サポートの手間を省くことができ、身近な社会課題の解決につながりうると感じました。これらのメーカーがいずれも乗用のMaaS車両を展示して人と共存する未来像を提示していたのに対し、物流MaaSに力を入れている企業も目立ちました。米国と中国を拠点に商用EVを手掛けるスタートアップCENNTROのブースでは、自動運転のオープンプラットフォームである“iChassis”の展示が目を引きました。物流MaaSの用途に応じ、異なるサイズのシャシーを展開し、荷物を積載する部分はカスタマイズが可能となっています。その他、水素燃料電池搭載の大型トラックから配送用の小型BEVまで、バラエティに富む展示内容でした。また、オーストラリアのスタートアップApplied EVのコンセプトもCENNTROと似ており、物流MaaS向けのモジュール型EVプラットフォームである“Blanc Robot”を活用したソリューションをブースで紹介していました。同社は、車両を統御する”Digital backbone (DBB)”システムをコアプロダクトに持っていますが、”Software Defined Machines”の謳い文句の通り、DBBがハードとソフトを統合するカギとなっているようです。

最後に、テック大手のモビリティ関連の展示に触れたいと思います。西ホールのAmazonのブースでは、同社の音声アシスタント機能である”Alexa”とメディアストリーミングプレーヤーの”Fire TV”が標準装備されたJeepのGrand Wagoneerが展示されていました。同社がセンターコンソールのGUI設計全体を手掛けるというよりは、まだアプリの一部として実装されている段階のようでした。また、Amazon傘下の自動運転スタートアップZOOXも独自にブースを設け、ロボタクシー車両と公道走行の模様を紹介していました。一方でGoogleは、Android OSを搭載したスマホを車載ディスプレイに接続できる”Android Auto”のアップデートを発表。屋外に設けられた同社のパビリオンの中では、縦長の大型センタースクリーンを備え、”Android Auto”にも対応する新型電動SUVのVolvo EX90が公開されていました。また、これまでBMWの一部車種で採用されていたスマホベースのデジタルカーキーを家族や友人と共有できるようになり、これを他の完成車メーカーにも拡大するといわれており、上述のEX90もスマホでのロックや車内温度の調節を行うことが可能となっています。Microsoftは、自社のクラウドサービスから、開発の自動化ソリューションまで、様々なモビリティカンパニーとの協業事例をブースでPR。同社のメタバース技術を活用したFIATのバーチャルショールームでの新車購入のデモが印象的でした。いずれのケースでも日常生活とモビリティの間のシームレスなユーザー体験を一層向上させる狙いがあると思われ、今後GAFAMがどのようにモビリティのシステム構築に影響を与えていくのか大いに気になるところでした。

Asahi Kasei Booth

Care for People, Care for Earth

旭化成グループは、2023年1月5日(木)~1月8日(日)に米国ラスベガスで開催された世界最大規模の技術見本市「CES® 2023」に出展しました。自動車やコンシューマ・エレクトロニクス業界関係者など約1,700名の方がブースを訪れました。

Exhibition

01

コンセプトカー「AKXY2」

自動運転が普及した未来を見据えて作成されたコンセプトカー「AKXY2」を展示しました。
来場者からは「かっこいい!」、「未来のクルマだね!」といった声が数多く聞かれました。

AKXY2 詳細をみる

Exhibition

01

コンセプトカー「AKXY2」

自動運転が普及した未来を見据えて作成されたコンセプトカー「AKXY2」を展示しました。
来場者からは「かっこいい!」、「未来のクルマだね!」といった声が数多く聞かれました。

AKXY2 詳細をみる

Exhibition

02

飲酒運転を防ぐ
アルコール検知センサー

米国では飲酒運転事故の死亡者が年間1万人を超えており※1、飲酒運転防止技術の導入が急がれています。今回は、呼気に含まれるアルコールを数秒で自動検知できるハンドル組み込み型センサーをデモ展示しました。センサーとエンジンを連動させ、アルコールが検知されるとエンジンが停止するシステム「アルコールインターロック」への活用が可能です。

Exhibition

02

飲酒運転を防ぐ
アルコール検知センサー

米国では飲酒運転事故の死亡者が年間1万人を超えており※1、飲酒運転防止技術の導入が急がれています。今回は、呼気に含まれるアルコールを数秒で自動検知できるハンドル組み込み型センサーをデモ展示しました。センサーとエンジンを連動させ、アルコールが検知されるとエンジンが停止するシステム「アルコールインターロック」への活用が可能です。

Exhibition

03

車内の快適性を高める
ロードノイズキャンセル技術

自動運転の普及により車内でエンターテイメントを楽しむニーズが高まっていくと考えられます。True Wireless Stereo (TWS) ヘッドホンなどに使われる「アクティブノイズキャンセル」の技術を応用し、走行中のノイズを低減する「ロードノイズキャンセル技術」をご紹介しました。

Exhibition

03

車内の快適性を高める
ロードノイズキャンセル技術

自動運転の普及により車内でエンターテイメントを楽しむニーズが高まっていくと考えられます。True Wireless Stereo (TWS) ヘッドホンなどに使われる「アクティブノイズキャンセル」の技術を応用し、走行中のノイズを低減する「ロードノイズキャンセル技術」をご紹介しました。

Exhibition

04

次世代空調システム(HVAC)向け
技術

HVACを進化させる技術を展示しました。

車内の空気質をモニターし、換気を自動制御することでエネルギー消費を最適化するCO2センサー

本CO2センサーは超低電力でも動作するのが特徴です。
今回はじゃがいも6個分から得られる微小な電力からCO2を測定し、Bluetoothで外部機器に表示させるデモを行いました。

Exhibition

04

次世代空調システム(HVAC)向け技術

HVACを進化させる技術を展示しました。

車内の空気質をモニターし、換気を自動制御することでエネルギー消費を最適化するCO2センサー

本CO2センサーは超低電力でも動作するのが特徴です。
今回はじゃがいも6個分から得られる微小な電力からCO2を測定し、Bluetoothで外部機器に表示させるデモを行いました。

Exhibition

05

リサイクル素材の使用率を高めた
自動車内装材

自動車内装材に多く採用されている人工皮革製品の新ラインナップ「PURE」を展示しました。リサイクル率は既存製品の「AUTO」の45%から「PURE」では73%になりました。外観と性能を変えずに、リサイクル材の使用量を高めています。

Exhibition

05

リサイクル素材の使用率を高めた
自動車内装材

自動車内装材に多く採用されている人工皮革製品の新ラインナップ「PURE」を展示しました。リサイクル率は既存製品の「AUTO」の45%から「PURE」では73%になりました。外観と性能を変えずに、リサイクル材の使用量を高めています。

DIGEST MOVIE

メールマガジン

メールアドレスを登録していただくと、新着情報や
製品情報などが定期的に受け取ることができます

メールマガジン登録