vol.03 特集テーマ 航続距離延伸

リンドバーグ氏、炭素排出のないマルチモーダル航空のビジョンを語る

飛行士、芸術家、起業家である エリック リンドバーグ氏は、一族伝来のビジョンを、炭素排出ゼロのマルチモーダル航空の未来を実現することだと語りました。2021年5月18日(火)に開催されたEBACE Connectのオープニングで、「航空とサステナビリティの申し子」であるリンドバーグ 氏にNBAA会長兼CEOのEd Bolen氏がシアトル航空博物館(The Museum of Flight)でインタビューを行いました。

リンドバーグ 氏と航空業界のつながりをご存じない方に、EBACE Connectのサイトから抜粋してご紹介します。「2002年、エリック リンドバーグ 氏は、祖父が成功させた大西洋横断単独飛行を、単発エンジンを搭載したLancair Columbia 300(ランスエア社のセスナ)で再現しました。この飛行によって、XPRIZE財団に100万ドル以上の寄付金が集まり、商業宇宙飛行産業が誕生しました。歴史を作ったリンドバーグ氏は、現在、未来を形づくる活動をされています。同氏は先進的なエアモビリティビークル用エンジンを設計するVerdeGo Aero社の共同設立者でもあります」。リンドバーグ 氏は、これらの活動やその他の取り組みを通じて、祖父母の代から引き継がれる自然保護と航空の発展に尽力し、現在も継続的にリンドバーグ財団(The Lindbergh Foundation)を支援し続けています。

「祖父が1927年に大西洋を横断して賞金を獲得する前は、飛行機に乗る人間はバーンストーマー(曲乗り飛行士)やデアデビル(命知らず)と呼ばれていましたが、祖父の大西洋横断飛行後は、パイロットや乗客と呼ばれるようになりました」。と、リンドバーグ 氏はインタビューで語っています。

「それは航空が何に利用できるのかという世の中の見方を大きく変えたのです。今日、この出来事を振り返り、未来がどうなるのか、どのようにそこに到達するのか、どう未来に向かって飛んでいくのかを考えると、サステナビリティと航空が導いてくれる究極のつながりこそ私たちが紡いでいかなければならないものだと思うのです。プライズフィランソロピー(懸賞による慈善活動)は、まさにそれを実現するための有益な施策です」。リンドバーグ氏は、政府や産業界が行う段階的な開発では実現できないことを、懸賞をかけて新しい技術を生み出すことで障壁を破り、不可能を可能にできると強く信じています。XPRIZE財団の最新のビジョンは、炭素を排出しない未来に向けた打開策を推進することです。その結果としてできたのがフォーエバーフライトアライアンス(ForeverFlight Alliance)であり、賞金1億ドルを懸けて「どうすれば航空を無限にサステナブルにすることができるか?」という問いを投げかけています。

フィランソロピーとは、人類への愛にもとづいて、人々の「well being」(幸福、健康、クオリティ・オブ・ライフなど)を改善することを目的とした利他的活動や奉仕的活動のこと

また、祖父の大西洋横断飛行から100周年を記念して、リンドバーグ 氏はニューヨークからパリまでのハイブリッド電気駆動による飛行を計画しています。その詳細は、現在から2027年5月までの間に開発される技術に併せて展開していきます。リンドバーグ 氏と共同ホストのLyn Lindbergh氏は、ポッドキャスト「二度目のチャンス(Second Chances)」の第3シーズンをスタートさせます。このポッドキャストでは、幅広いテーマについて興味深い人達に踏み込んだインタビューを行います。

リンドバーグ 氏のメッセージと呼応したのが5月19日(水)に開催されたEBACEのサステナビリティに関するセッション「水素または電動化の準備はできているか?(Hydrogen or Electrification:Are We Ready?)」です。このセッションでは、「サステナブルな航空」につながる重要な取り組みの状況を検証しました。パネリストには、モジュール式水力発電機を開発しているHydroplane社の創業者兼CEOのAnita Sengupta博士、大規模なOEMベースのサステナビリティ活動を推進するAirbus Blue Sky社のシニアリサーチプロジェクトリーダーのPatricia Parlevliet博士、欧州委員会のアドバイザーであるSebastiano Fumero氏を迎え、Financial Times紙の航空担当記者であるRohit Jaggi氏がモデレーターを務めました。民間航空業界は注目されやすく、ターゲットにされやすいため、環境対策への取り組み「Go Green」で手本を示さなければならないというのが、セッションに参加した方々の共通の認識です。

既存の、あるいは近未来のバッテリー技術を利用する短・中距離飛行は、サステナブルな航空燃料(SAF)と並んで低コストで実現が可能なものです。しかし、2050年までにゼロエミッションにするという目標を達成するには、水素などによる動力装置がより大きな成果をもたらすでしょう。

Sengupta博士は「大型旅客機から始めることはできない」と述べました。まずは、小さな規模から考えなければならず、事業や限定された地域での航空が大きな役割を果たすということです。Fumero氏は、パリ協定で設定された目標を達成するために、EUの統治機関がどのように「飴と鞭」のアプローチを用いて産業界を後押ししたかを語りました。CO2排出量への課税(鞭)と、EUが官民連携で行っている研究開発への投資(飴)とのバランスが重要になります。Parlevliet博士は、中間ステップとしてSAFの普及、埋立ごみ処理ゼロ、廃棄物ゼロの目標を掲げ、またSengupta博士の指摘のように、現在水素製造には大量の炭素燃料が使用されているため、水素製造のサステナビリティを高めることも必要であるという考えを示しました。

 

この記事はFlyingのJulie Boatmanが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

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