vol.02 特集テーマ Sustainable Mobility

COVID-19終息後の生活: 持続可能なスマートシティの実現に向けて

COVID-19は、スマートシティの長期的な持続可能性と都市型ライフスタイルブームに対する、新たな示唆を与えています。世界中の国々がヘルスケア部門の強化と基幹システムの稼働の維持に資金を投入している中で、今なお続くパンデミックにより、多くの人たちがニューノーマルに疑問を抱き始めています。

コロナウイルスをきっかけに、世界のヘルスガバナンスの課題が浮き彫りになっただけでなく、パンデミックに対する心構えが問われ、インフラストラクチャの検証が求められています。

人々は、都市での生活を好む傾向にあります。地方都市に比べると、仕事や娯楽の機会に恵まれやすく、交通の便なども良いことから、生活の質が向上すると期待するからです。国連経済社会局による報告では、2050年までに世界人口の3分の2以上が都市部に住むと予想されています。

都市部の面積は地球上の土地のわずか2%しかないため、都市の人口密度は高く、特にCOVID-19のような感染力の高いウイルスによる疫病が蔓延した場合、それに対する対処は、より複雑で困難になります。

さらに、現代の経済システムの欠陥により、コロナ危機における差し迫った対応と持続可能なインフラへの投資との間において、均衡を保つことが非常に難しくなっています。

持続可能な未来に向けた危機対応型ソリューション

ここ数カ月で、危機対応を優先させたテクノロジーによる解決策(例えばワクチンの開発)によって、より良い未来がもたらされることが分かってきました。大手ハイテク企業やスマートシティには、持続可能な生活や開発を確実に行うべき責任があります。これはパンデミックの際には特に当てはまり、パンデミックに対する徹底的な監視と迅速な対応が必要となります。

中国などの国では、人工知能(AI)テクノロジーとビッグデータを効果的に活用して、最前線で働く医療従事者を支援し、感染者に接触した者の特定をリアルタイムで行い、潜在的な感染源をふるい分けています。

デジタルテクノロジーを利用することによってテレワーク、Webベースでの社会とのつながり、仮想的なサービス、さらにはヘルスケアの必需品である3Dプリンタの利用が促進されています。これは、我々が危機から学んだことを、スマートシティの仕組みに反映するだけでなく、危機の中にあっても学ぶことができることを示しています。

パンデミック後の持続可能性開発におけるブロックチェーンの役割

ブロックチェーンテクノロジーは、データ送信とデータ保護の方法に革命をもたらしました。今では世界中の都市で採用されており、機器の相互接続性とデータの不変性により、都市管理システムの進化に役立っています。

ヘルスケア、製薬、食品、農業などの業界では、当局が資源を効果的に監視および割り当てることが可能になったことで、サプライチェーン管理をより拡大することに成功しました。

ブロックチェーンテクノロジーは、持続可能な都市設計を実現する重要なトピックであるだけでなく、より良い未来の実現を目指して世界のリーダーが投資を続けるべき大事な解決方法です。国連情報通信技術局(UN-OICT)はブロックチェーンをベースとした最先端の解決方法を開発し、アフガニスタン政府の再建への取り組みを支援しています。

UN-OICTは「City for All」発案の一環として、ブロックチェーンテクノロジーを活用し、国のインフラ課題を解決し、効果的な土地管理システムや戦略的な都市インフラの導入をして、地方自治体の財政改善を実現しています。

ブロックチェーンテクノロジーは、基本的な生活必需品に関するリアルタイムな情報を提供することで、エネルギー供給の自動化、水の消費量の管理、大気質レベルの監視など、公共サービスにも変革をもたらしています。

こうした変革によって当局が資源をより細かく管理できるようになり、需要と供給が効率化されるだけでなく、データの整合性を確保しながら都市計画の根本的な問題に対処できるようになっています。

より広範な持続可能性実現への課題に対する取り組み

復興の次の段階を考えるにあたり、パンデミック後の方針をまとめる際には、環境の持続可能性を考慮することが重要です。

コロナ禍での隔離期間中における経済の減速により都市の汚染が大きく改善しました。その結果、人間の活動が地球環境に与える影響を再評価することが必要となっています。

炭素排出量を最小限に抑え、エネルギー消費を抑制する長期的な対策と、スマートな廃棄処分システムを導入することで、より健康的な都市環境を得ることができます。

Ericssonが発行している『エリクソンモビリティーレポート』は、ICTを活用した解決策が効果的に実施された場合、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を15%削減できると指摘します。包括的な計算と効果的にスマートグリッドを活用することで、汚染が著しい地点を特定し、その発生源に対して積極的な対策を講じ、進捗状況を継続して記録することが今よりも簡単にできるようになります。

例えば、ミャンマーのヤタイ市にあるBuilding Cities Beyond(BCB)ブロックチェーンが組み込まれているスマートメーターは、エネルギー管理を改善しているだけでなく、消費者のエネルギー消費行動を規制し、都市全体のエネルギー効率を向上させています。このスマートメーターにより、ヤタイ市のホテルでは環境保護を考慮したお客様を特定し、協力していただいたお礼として料金の割引などを行っています。

さらに、クラウドベースのソフトウェア・アプリケーションは、日常のライフスタイルを変え、エネルギー消費の抑制に貢献しています。Apple、Google、Amazonなどの巨大ハイテク企業では、家庭の電力使用量の管理方法を変えるさまざまな装置を発表しています。

一方、廃棄物は人間が活動する上で、まず避けることができないものであるため、開発面でも環境面でも、世界中のすべての国にとって重要な問題となっています。都市での廃棄物は大気や水質に影響を与え、健康被害を引き起こし、公共空間に影響を与えています。

最先端の廃棄処分システムにより、都市部の廃棄物管理方法を見直すことができます。地方自治体は、センサーと分散型ブロックチェーンネットワークを利用して相互運用が可能な廃棄物を追跡する手段を開発することで、持続可能な廃棄物管理システムを実現できます。

オープンネットワークの可視性が高まることで、消費者、企業、廃棄物管理業界の間での説明責任の必要性が高まります。

現在進行中のパンデミックから回復していく中、私たちの生活が近い将来どうなるかを明確にし、起こり得る世界的な危機に直面した時の準備態勢を整えることが重要です。複雑で相互接続された枠組みの上に構築されているスマートシティは、世界に変化をもたらし、それを再形成することになるでしょう。

とはいえ、持続性を維持していくには協調して努力することが必要です。より良い未来を維持する責任は、全人類の肩にかかっています。テクノロジーや資源管理が進歩しているにもかかわらず、都市人口の急速な増加という現実が迫り来る現在、持続可能な生活を確かなものにするために、新しい技術を革新する者、政策立案者、そして日常生活を営む人々が、これまでとは違う考え方や方法で日常生活を送らなければなりません。

どんなに長い道のりでも「千里の道も一歩から」です。それぞれに与えられた役割を共に果たしていきましょう。

 

この記事はe27のVanessa Kohが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。

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